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『秋空』

皆(みな)をさわがす 夏が 過ぎ去り
波にさらわれ 消える浜辺(はまべ)の砂に
書いた 文字は 胸にのこって
そんな季節に あこがれてゆく

けど 木枯(こが)らし とても静かな 神無月
僕に つつしみを おしえている

その肌寂(ざみ)しさを埋めるよ(う)に
ひとびとは 肩に衣(ころも)を羽織って
熱をおびて(い)る 心だけが
饒舌(じょうぜつ)に うごめいて いる秋空

不器用に凍(こご)える 日々の
やるせなさに 震える帰り
黄色の散る アーチは僕を
覆(おお)いながら なぐさめて(え)いた
けど「食欲・読書」たちをたよるあまり
秋の声だけを見失って
白 あまった キャンバスをながめるまで
やがて降る雪を忘れていた

もし飾る言葉がほしいなら
この秋はもっと風を吹かせたろう
けど灰色のまま 去らせてと
霜月は 無言 貫いて
紅葉(もみじ)色めいてく季節には
言の葉(ことのは)が 足りるはずもないけれど   
讃えられることを嫌うよ(う)に
少しだけ肌に沁みていって「さよなら」と
僕に そっと 秋空(あきぞら)